分譲マンションを購入する時は、マンションのエリア、物件の状態、間取り、方角などが考えるポイントとなりますが、「住む階層」も選択することになります。
マンションでは、全く同じ間取りの部屋でも、階によって価格が変わることは多々あります。
また同じ3LDKの部屋だったとしても、階層で特徴も異なります。
自分たちの暮らしに適した部屋の高さはどこなのか、階層による違いからも詳しく考えていきましょう。
1. マンションの「防災面(地震・津波・台風・火災)」は何階が安全?
阪神淡路大震災や東日本大震災などの大地震では、倒壊などの被害が出た建物の多くは古い一戸建て家屋でした。
そんな時「マンションは安心なんだ」と思った人も多いでしょう。
しかし、日本は地震大国とも呼ばれるほど、地震が多い国ですよね。
分譲マンションを購入する際、「地震の時、本当にマンションって大丈夫なのかな?」と思いますよね。
そこで、マンションの階層別に、災害時の様子や防災面での特徴をご紹介していきます。
1-1. 高層階(最上階)の場合
マンションは高層階ほど人気が高く、販売価格も高いという特徴がありますが、防災面ではいくつかの不安事項があります。
都内には、以下のような20階以上のマンションもめずらしくありません。
- パークホームズ豊洲ザレジデンス(東京都江東区豊洲5丁目、22階建て、総戸数690戸、2017年1月竣工)
- Brillia有明SkyTower(東京都江東区有明1丁目、33階建て、総戸数1089戸、2011年3月竣工)
- キャナルファーストタワー(東京都中央区東雲1丁目、42階建て、総戸数415戸、2008年1月竣工)
最上階は、地震の時にエレベーターが止まって、とても苦労する人が多いです。
・エレベーターの停止
タワーマンションなどの場合、中間層の階に水や食料の備蓄をしているところもあります。
マンションの高層階の購入を考えている時は、災害時の避難経路や対策は考えられているのかを確認しておきましょう。
ヘリポートがあるマンションの場合、最上階が防災面で優れているとの意見もあります。
津波や大雨の被害でも水没する恐れがないため、安心出来るポイントではないでしょうか。
・高層階(最上階)の地震の揺れは強い
「高層マンションは上層階に行くほど地震の揺れが強い」と聞いたことがないでしょうか。
実際に、マンションの構造によっては、地震の際の揺れは1階と比べると倍以上に感じることもあるのです。
揺れが大きいということは、その分家具も大きく揺れますし、飾っているものや、食器棚の中のガラス類が散乱して怪我につながることもあります。
(参照:高級マンションドットコム「タワーマンションは地震に弱い?!被害に合わないために知っておくべき5つのこと」)
(参照:高級マンションドットコム「タワーマンションのデメリットは地震に弱いこと?!契約前に知っておくべき5つの注意点とは?」)
・高層階(最上階)に住む時の注意点
高層階(最上階)に住むときは、地震に備えて以下のことに気をつけるようにすると良いでしょう。
- 家具や大型家電などだけでなく、電子レンジなどもしっかり固定する
- 出来るだけ低めの家具を選ぶ
- オープン棚などにコレクション品をディスプレイしない
1-2. 中層階(2階以上)の場合
マンションでは、安心・安全面を考えた場合、2階以上の中層階が人気です。
人気の理由は以下のことがあります。
- 建物としても、中層階はバランスが取れているのではないかと思う人が多数
- 最上階は何かと安全だろうけど、自力で逃げられるのは中層階だから
- 避難経路がなくなっても、最悪の場合飛び降りることが出来る
これらのことから、マンション購入の際は防災面(地震・津波・台風・火災)の安心・安全面を考慮した時には中層階を選ぶ人が多いようです。
1-3. 低層階(1階・2階)の場合
低層階は、防災面(地震・津波・台風・火災)では「地震で1階はすぐに潰れるのではないか」と思っている人が多いようです。
しかし、阪神・淡路大震災以降に建設されたマンションは、耐震基準も厳しくなっていますので、地震で倒壊する可能性は少ないでしょう。
・浸水リスク
1階は台風などで浸水する可能性があります。
居住する地域によっては地震の時に4階あたりまで津波が来る可能性があるエリアもありますし、台風などで川が氾濫した時に浸水する可能性もあります。
普段の台風で毎回浸水しているようなエリアに建つマンションの低層階購入を考えている時は、万が一の水害に備えて、マンションがあるエリアの海抜を調べておくと良いでしょう。
・地震からの火災リスク
地震に伴う火災も不安要素の一つですよね。
マンションの構造上、1階部分が駐車場になっている物件の場合、車に入っているガソリンに飛び火で引火して居住スペースに燃え広がった火災がいくつかありました。
地震から火災が起こる可能性はゼロではありませんので、最近では駐車場が別になったマンションを選ぶ人も増えてきています。
2. マンションの「防犯面」は何階が安全?
最近では、マンションを選ぶ時に、オートロックや防犯カメラ、モニター付きインターフォンなど「手厚い防犯」も重要視されています。
しかし、マンションは部屋数も多いので「何階だと泥棒に入られにくいのか」なども気になるところです。
そこで、マンションの階層別に、災害時の様子や防犯面での対応策などご紹介していきます。
2-1. 高層階(最上階)の場合
マンションの高層階(最上階)の場合は、「泥棒に入られにくい」と思っている人は多いでしょう。
しかし、マンションでの侵入窃盗の割合としては、約1割が4階建て以上の中高層の部屋で発生しており、最上階も泥棒から狙われやすい物件です。
泥棒が最上階を狙う理由は以下の通りです。
- マンションの高層階は富裕層が多い
- 高層階だからと油断している人が多く、無施錠の家が多い
マンションの高層階に侵入する経路は、屋上からロープを垂らす方法や、排水パイプを伝っていく方法など様々ありますが、無施錠の場合は普通にドアから侵入されることもあります。
高層階になれば、住人以外の出入りが少ないこともあり、安心して暮らすことが出来るというメリットもあります。
しかし、高層階だから泥棒が来ないというわけでもありませんので、自分で防犯意識を高めておくことはとても重要です。
2-2. 中層階(2階以上)の場合
マンションは意外に中層階も窃盗被害が起こりやすいです。
中層階での泥棒の被害状況は以下の通りです。
- 窓からの侵入…40%
- ドアからの侵入…46%
- バルコニーからの侵入…24%
このうち、無施錠の家が43%、ベランダからガラスを破り侵入しているケースが20%超えです。
普段から施錠しない家は、泥棒から狙われています。
「マンションだから」と安心して施錠しない習慣がある人や、ゴミ出しなどの短時間の場合、ドアを施錠せず外出すると、その隙を狙われて被害に遭う可能性があります。
マンションがオートロックだからといって、無施錠で外出して良いわけではありません。
オートロックを過信することはやめておきましょう。
(参照:マンションセキュリティドットコム「オートロックマンションのセキュリティを破る7つの手口と安全な物件選びの方法」)
2-3. 低層階(1階・2階)の場合
マンションは、低層階(1階・2階)ももちろん泥棒に狙われやすいです。
やはり低層階への侵入はリスクが少ないことと、綿密な計画を練りやすいということがあります。
泥棒が侵入しやすい環境であるのは、以下のようなマンションです。
- 建物の周りが柵や塀で囲まれていない
- 樹木などが目隠しになっている
- 人通りが少ない地区
- 死角が多い
これらのマンションは窃盗犯に狙われやすいのですが、中でも低層階(1階・2階)部分は、一番狙われやすくなります。
低層階は、毎日の外出が楽、戸建て感覚で住むことが出来るなどの理由からとても人気のある物件が多いのですが、窓やドアの施錠は必須であり、普段からより防犯意識を高めておくことが重要です。
このことから、マンションはどの階に住めば安心というものではなく、個人の防犯意識がとても重要だと言えるでしょう。
3. まとめ
マンションを選ぶ時には、防災面、防犯面を考慮すると何階に住むのが安心なのかということについてご紹介しました。
いつ何が起こるかわからない地震や火事などの被害や、泥棒や不審者の被害、必ず何かが起こるわけではありませんが、自分と大切な家族を守るために、もしもの時に備えて物件選びをすることは大切なことです。
安心・安全について考慮しながら災害時のことを想定しつつ、家族で話し合いながら、マンションの何階に住むのが安全かを考えていきましょう。
また、マンションは「侵入窃盗、泥棒のターゲットになる可能性も高い」という事実もあります。
中でも、無施錠状態の住居に対しての侵入がもっとも多い手口です。
マンションのどの階層が防犯面で安全かということを考えるよりも、マンションに住むことになったら、共用部分の防犯システムを過信せず、常に戸締まりをするようにしましょう。
これだけでも防犯効果はかなりアップします。